ロバのシルベスターとまほうのこいし

自分は、読み聞かせボランティア活動をしています。あちこち出かけるわけではなく、地域の小学校へ行っています。

基本は木曜日の朝、1時間目が始まる前に8:30~8:45くらいの間で活動しています。

今回のクラスは5年生。そろそろ大人の階段を上り始める年頃です。前に読み聞かせたかな・・・と思いながら、子どもたちの様子をうかがうと、この絵本を知っている子もいましたが、このクラスでは読んでいなかったみたいでした。ちょっと長い物語だけど、と前置きをしてから読み進めていきました。

『ロバのシルベスターとまほうのこいし』 
ウィエイアム・スタイグ/作 瀬田貞二/訳 評論社

きれいな小石を集めるのが好きなロバのシルベスターは、ある日、願い事がかなう不思議な魔法の小石を拾います。触りながら願い事を言うと、その願いがすぐ叶うのです。うれしくなったシルベスターは、急いで家に帰ろうと思います。するとその途中で、お腹を空かせたライオンにバッタリ出会ってしまいます。どんな願いでも叶えられるはずだったシルベスター、突然あらわれたライオンにあわてふためいて、「僕は岩になりたい」と言ってしまい、本当に大きな岩になってしまったのでした。手からこぼれ落ちた魔法の小石はもう握りしめられません。あっという間の出来事でした。

はじめはのんびり構えていた子どもたちに緊張が走りました。危険なことや事故は、突然やってくるものなのです。しかもその危険や事故が、絶望的であればあるほど、聞き手は緊張します。カラフルに彩色された絵本の絵とは違って、教室内にピーンと張りつめた空気が漂いました。

シルベスターがいなくなって一番悲しむのは家族や友人たちです。絵本では彼らが心配する様子が丁寧に描かれていて、聞き手は自分に何かあったときに周囲の人たちがどんな風に心配して、どんな手段を使ってでも探し出そうとする様子を細やかに感じることができます。子どもと大人の狭間を過ごしていく高学年の子どもたちにとって、この絵本の描写は、自分たちに振りかかる危険や事故がどんな状況を引き起こすのかをたやすく想像させてくれるものだと思います。読み手として、このあたりの描写は静かに、ゆっくりと、でも強い意志を持って読むことにしています。

いろんな偶然が重なり、奇跡的にシルベスターの願いは叶います。これはラッキーとしか表現しようのないハッピーエンドの絵本なのですが、深い悲しみを経験した後の奇跡は、期待できなかった結果なだけに、聞き手の子どもたちのほっとした雰囲気が読み手にじんわりと伝わってきました。

5年生の子どもたちは、これからしばらくの間、子どもでもないし大人でもない時期を過ごしていくことになります。この時期は、自意識のようなものが芽生えたり、幼い時期に戻りたい気持ちや早く大人になりたい気持ちがごちゃ混ぜになって、成長する喜びを感じるよりもずっと多くの時間を、もやもやした気持ちで過ごすことになるのではないかと思います。自分のことを考えるだけでいっぱいいっぱいになりそうなこの時期に、周囲の大人や友人たちがそばにいるよ、と絵本を通して伝えたいと考えています。ほんの少しでも『あなたは一人じゃないのよ』という気持ちが子どもたちに伝わればいいな、と思っています。

梅雨の晴れ間に、きれいな青空に出会えました。大雨警報が鳴り響く毎日ですが、こんな青空に出会うこともあるんだな、とつい写真を撮りました。日本中で集中豪雨の災害が絶えません。年々酷い状況になっているような気がします。被害に遭われた皆様には、心よりお見舞いを申し上げます。皆様、どうかご自愛なさってくださいませ。

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